コミュニティでは、畑仕事のほかに米作りもしている。
その様子を見ているうちに、自分も稲作をやってみたいと思うようになっていた。
しかし、稲作の知識は何もない。
畑と違ってトラクターなどの機械や専用の道具も必要になる。
それでも、まずは小さな田んぼを借りられないか探し始めた。
農業委員会へ何度も相談に行った。
JAの稲作担当の部署にも行き、講習会や機械を貸してくれるところがないか聞いてみた。
しかし、返ってきた反応はあまり良いものではなかった。
「おばあちゃん、何を言っているの?」
そんな感じの対応だった。
それでも諦めきれなかった。
ホームセンターで種もみを買い、畑にまいてみたこともある。
畑でも苗が育つのではないかと思ったからだ。
しかし結果はうまくいかなかった。
稲の苗にはならず、雑草のように伸びただけだった。
結局、そのまま緑肥として畑にすき込むことになった。
やはり稲作は、畑の野菜作りとはまったく違うものだと実感した。
そんな頃、コミュニティの手伝いに来ていた若者二人が「米作りをやってみたい」と話していた。
ちょうどそのとき、コミュニティの代表の知り合いである大規模農家さんから話があった。
「2〜3年稲作をしていない田んぼがある。
夏の管理をしてくれる人を探している。」
ただし条件があった。
・肥料代や稲苗代などの初期費用を負担すること
・田起こしや田植えは機械で行うが、その費用を支払うこと
その代わり、収穫したお米は自家用にしても販売してもよい。
もし販路がなければ、その農家さんが買い取ってくれるという話だった。
私たち三人は「ぜひやってみたい」と申し出た。
ところが年末になって、一緒にやる予定だった若者の一人が「米作りはできない」と言ってきた。
理由を聞くと、他にやりたいことができたという。
そして実は最初からあまり乗り気ではなかったが、断れずにいたということだった。
その話を聞いたとき、やっとつかみかけていたチャンスが流れていくような気がした。
でも振り返ると、最初に三人の意思をしっかり確認していなかった。
若者たちもきっと悩んでいたのだと思う。
年長の自分が、もっと早く気づいてあげればよかった。
そう反省もした。
その後、コミュニティの代表と農家さんに相談した。
「一人でできるか不安ですが、やってみたいです。」
そう正直に話した。
すると二人とも、「協力するから、一人でもやってみなさい」と言ってくれた。
不安はある。
でも、ずっと心の中で温めてきた思いを拾い上げてもらえたような気がした。
こうして私は、米作りに初挑戦することになった。



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