
還暦から畑を始めることになったきっかけ
市民農園を借りて野菜作りを始めたのは、還暦を過ぎた頃だった。
最初は小さな畑で、きゅうりやトマト、ナス、長ネギなどを少しずつ作るところから始めた。
野菜作りは楽しかったが、分からないことも多く、雑誌やインターネットを見ながら試行錯誤の日々だった。
そんな中、コミュニティの仲間の一人が話してくれたことが、私の考えを大きく変えた。
その人は農業経験がまったくなかったが、コミュニティに参加して野菜作りの基本を学び、知り合いから遊休農地を借りて野菜作りを始めたという。
今では農産物直売所やインターネットで野菜を販売し、自家消費用の麦や米作りも始めているそうだ。
そして何より心を打たれたのは、できるだけ農地に負担をかけないよう、循環型で自然農法に近い形の農業をしているという話だった。
その人に誘われて「有機の稲作」をしている団体の講習会にも連れて行ってもらった。
そこで自然に近い農業の考え方を知り、「これだ」と感じた。
それが、畑を広げてみたいと思うきっかけになった。
遊休農地を借りることになった
コミュニティの代表に「遊休農地を借りて畑をやってみたい」と相談してみた。
このコミュニティは、遊休農地の活用と地域住民の交流を目的にしている。
そのため代表はすぐに動いてくださり、畑を紹介してくれた。
ただし条件があった。
まずは2年間やってみて、そのあと続けるかやめるか決めればいいということだった。
無理に続ける必要はない。
その言葉で、少し気持ちが軽くなった。
草だらけの畑からスタート
紹介された農地は、長い間使われていなかった土地だった。
草は腰の高さまで伸びていて、最初に見たときは正直驚いた。
広さは20坪ほど。
数字だけ見ると広くないが、草に覆われた土地はとても広く感じた。
鎌ではとても刈りきれないと思い、充電式の電動草刈機を購入した。
価格は1万5千円ほど。
軽くて扱いやすく、1回の充電で20分ほど作業できる。
初心者で体力に自信のない自分にはちょうどよかった。
刈った草を集めて畑の隅に運ぶ。
その作業を何度も繰り返した。
想像以上の重労働で、途中でへこたれそうにもなった。
それでも草を刈り終えたときには、大きな達成感があった。
固い土を耕す作業
次は土づくり。
長年使われていなかった土地は、土が固く締まっていた。
市民農園で使っていた小型の耕運機ではまったく歯が立たない。
そこで近くの農具店に相談し、充電式のミニ耕運機を購入した。
価格は10万円ほどだった。
決して安くはない買い物だったが、畑を続けるためには必要だと思った。
耕して、米ぬかともみ殻、有機堆肥を入れて、また耕す。
この作業を何度も繰り返した。
土が少しずつ柔らかくなっていくのを見るのが嬉しかった。
夢中になって作業していたが、同時にこうも思っていた。
「このお金、趣味だけで終わらせたくない」
恵みの雨
先日、長ネギ苗の畝の草取りをした。
1〜2月は小雪や小雨が少しあっただけで、ずっと乾燥注意報が出ていた。
畑の土もパサパサだった。
草は抜きやすかったが、ネギの苗まで浮いてしまい、指で土を寄せて押さえながら作業した。
少し心配だった。
その2日後、久しぶりの本降りの雨が降った。
乾いていた土がしっとりと潤い、畑も生き返ったように感じた。
自分も畑も、どちらも元気をもらった気がした。
自然の力の大きさを、あらためて感じた一日だった。




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