日常のふとした瞬間に生まれる、子どもの物語。
一人の世界に入り込み、絵を描きながらストーリーを紡いでいる姿を隣で見ていると、思わずクスッとしてしまうことがあります。
面白いのは、何かに刺激を受けた日のイラスト。
普段描いているものとは格段にレベルが上がり、子どもの中の熱量を感じずにはいられません。
成長するにつれて、親の知らない場所で過ごす時間が増えていきます。
友達や先生からどんな刺激をもらっているのか、すべてを口で話してくれるわけではありません。
でも、こうして物語を書くことで、消化される感情があるのだと思います。
自分の気持ちを吐き出し、客観視して、自分自身を受け入れて、また明日に繋げていく。
一瞬で過ぎ去ってしまう日常の中で、その確かな成長の証を「イラスト」と「物語」としてここに留めておきたい。そんな想いで、このお話を載せています。

ある日、アリの子どもたちは
たくさんの仲間といっしょに乗りものに乗っていました。
子ども、子ども、子どもだらけ。
でもそれが楽しくて、みんなワクワクしていました。
すると突然――
「いたい!びっくりした!」
ちょっとこわかったけど、
みんなで進むことにしました。

高い高い階段が、ずっと続きます。
「まだあるの?」
「でも行こう!」
えっそ、ふぁいそ。
えっそ、ふぁいそ。
やっとたどり着いた先には、
ふしぎな自動販売機が2つありました。

「ここに出口があるかも!」
「自動販売機はしるしだよ!」
みんなでジュースを買って、
たくさん飲んで、たくさん遊びました。
ある日、
「昨日よりもっとおいしいジュース」と書いてありました。
「どういうこと?」
「わからないけど、進めばわかるかも」
そしてアリたちは、大きな森へ。
森の真ん中には、
なぜか魚が泳いでいました。
「どうしよう…」
「でも行こう!」
水を渡るとき、
落ちないように、落ちないように。
階段みたいな道をつくりながら進みます。
「えっそ!ふぁいそ!」
「ぼくだって負けない!」
やっとたどり着いたのは、
木でできたホテル。

「今日はここで泊まろう!」
でもその足元には、
さらさらの砂と、ふしぎな穴がありました。
「これ、なに?」
「アリジゴクだよ」
「落ちたら、水分だけ取られるんだって」
「え…こわい」
「でもね、さなぎになると、
ただの飛ぶ虫になるんだよ」
「じゃあ、ずっとこわいわけじゃないんだ」
そのとき、砂がくずれました。

「うわっ!」
「でも大丈夫!」
「えっそ!ふぁいそ!」
みんなで助け合いながら進みます。
「友だちって、こういうときに感じるんだね」
遠くで犬がほえて、
アリジゴクはどこかへいってしまいました。
「よし、もう安心!」
「このホテルで休もう」
そしてアリたちは、
ぐっすり眠りました。

意味を考えるとわからなくなるけど、そのまま読むと、ちゃんと楽しい。
子どもの頭の中には、つながっているようでつながっていない、でもちゃんとひとつの世界がありました。



コメント